ある程度情報も出揃ったと思うので、一度プリコネの各世界のプリンセスの元ネタについてまとめてみる。
ライラエル

ジオ・テオゴニアのプリンセス。
元ネタはエノク書に登場する夜の天使であるレリエル*1。懐妊を司る天使でもあり、その際の名前がライラエルでありこれが名前の由来と思われる。また、レリエル・ライラエルの名前はヘブライ語では夜を意味するライラー*2が由来で、この単語はメソポタミアにおける女性の悪霊・妖怪であり、アダムの妻であるリリス(リリス - Wikipedia)と結びつけられる。
2024年のクリスマスイベント「ラブ&パニッシュメント 悪魔が届けるクリスマス」ではライラエルはバラキエルという別の天使と習合(融合)していることが明かされた(画像は同イベントの第5話から)。

バラキエルは、ライラエルとは違い、人間を見下したりと冷徹な性格をしている。

ライラエルの傲慢モード時の振る舞いはバラキエルの影響を受けているらしく、夢の中のバラキエルも傲慢モードのライラエルと同じ口調をしている。
ただ、ライラエルに力を託したり、ライラエルと和解していたことからそこまで険悪な仲ではないと思われる。
バラキエルは、「神の祝福」という同名の天使もしくは「神の雷光」を意味する同名の堕天使が元ネタである*3*4*5。
ライラエルが王家の装備を通して雷を使うのもこれが由来だと思われる。
また、バラキエルのイコンには白いバラがあり、ライラエルも頭の右側に白いバラの髪飾りをつけている。
バラキエルのことを忘れないためか理由は不明だが、現実では祓樹 える(ばらき える)と名乗っている。

種族は元ネタ同様に天使で、ライラエルのキャラストーリー4話ではティアにより夢を見せられていることをすぐ察知したり、一言発して一般人達に軽めの暗示(もしくは行動の強制?)をかけたり、背中から翼を出して飛ぶことができる。


4枚の翼を持つことから、天使の中でも高い身分に位置することがわかる。
ちなみに、傲慢であることを諫める存在として雷撃というものがしばしば出る。
このことから、傲慢の王家の装備の所有者は雷と関連づけられ、雷からバラキエルをモデルにしたのではないかと考えられる*6。
殿も御存じのごとく、動物の中でも神の雷撃に打たれますのは際立って大きいものばかりで、神は彼らの思い上がりを許し給わぬのでございますが、微小のものは一向に神の忌諱(きい)にふれません。また家や立木にいたしましても、雷撃を蒙るのは常に必ず最大のものに限られておりますことは、これまた御存じのとおりで、神は他にぬきんでたものはことごとくこれをおとしめ給うのが習いでございます。神明(しんめい)はご自身以外の何物も驕慢の心を抱くことを許し給わぬからでございます。(Ⅶ.10)
第3部第13章第4話によると、ライラエルは「彼」と呼ばれる者の提案でアストルムに来たらしい。
「出来たばかりのこの世界」という発言から踏まえると、「彼」の正体はレジェンドオブアストルム開発に深く関わっていた棗宙(嚮導老君)が有力と思われる。

ラブ&パニッシュメント第5話のバラキエルの発言から、ライラエルがLoAに来た目的は人の代わりに愛せる存在を見出すためと思われる。

グラン・クリュはパルフェクト。

レインボーシュガシュガフルーツから作った至高の虹色タルトで覚醒。
スキルに何かと機械らしいワードが入っていたり、専用バフの「エクスマキナ」というワードや、機械的な装飾から、モチーフはデウス・エクス・マキナと考えられる*7。

デウス・エクス・マキナとは、劇の内容が錯綜して解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在(神)が現れ、(強引に)物語を収束させるという演劇における演出技法を指す。
パルフェクトという名はスイーツのパルフェ(パフェ)と「完全」などを意味する「パーフェクト(perfect)」から来ていると考えられる*8。
ちなみにパルフェの語源はフランス語で「完全な」を意味するparfaitから来ており、実質的には「完全」という意味の単語が二つ混ざっている。
また、「完全」というワードからの連想に過ぎないが、キリスト教には完徳(perfectio)という概念がある*9*10*11。
完徳とは神が持つ完全性を指す言葉で、人間もこれに倣って完全になろうという話でしばしば用いられる。
デウス・エクス・マキナをモチーフにしているものの専用バフの名前は「デウス(神)」を抜いた「エクスマキナ(機械によって)」としていることを踏まえると、神ではないもののライラエルが神(の完徳)に近づいているということを表しているのかもしれない。
ネフィ=ネラ
ジオ・ゲヘナのプリンセス。
本名はネフィリム=ネビュラ。

ネフィリムとは、人間の女性と神or天使or巨人(文献によって異なる)から産まれた巨人*12を指す。
ネビュラ(nebula)は「星雲」を意味する英単語*13*14。
星雲とは、重力的にまとまりをもった宇宙塵(宇宙空間に分布する1mm以下の固体の粒子((宇宙塵 - Wikipedia))や星間ガス(宇宙空間に漂う水素やヘリウムを主体とした気体)((星間ガス - Wikipedia))などから成る、雲のように広がった天体である。
ネフィ=ネラがスキルで使用する環境効果の「妨魔塵」は、この宇宙塵が由来だと思われる。

nebulaの語源は「雲」を意味するラテン語である((英語「nebula」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書))。
さらにルーツを辿ると、ギリシャ語では「雲」はネペレー(nephele)、ネフォス(νεφος)と呼び、これがラテン語のnebulaの語源になったと考えられる((nepheleの読み方・発音・意味|雲のギリシャ語:ネーミング辞典))。
これらの情報から、ネフィ=ネラの強大さと全容の掴みにくい雰囲気を雲や星雲に関連づけているのかもしれない。
通常時のUBの「滅裂万化・輪廻転掌」は滅裂(支離滅裂?)、千変万化、輪廻転生((輪廻 - Wikipedia))といった単語が由来と思われる。

輪廻転生は、ヒンドゥー教、仏教などに登場する概念で、生物が永劫生と死を繰り返し続けることを指す。
これらの単語はいずれも何かしらに「変化する」という意味で共通点があるように見受けられる。
鬼面仏心のUBは「天元万化・鬼神仏掌」と言い、第3部第14章幕間ⅩⅧでは「滅裂万化──破幻・雲散霧掌」((雲散霧消(ウンサンムショウ)とは? 意味や使い方 - コトバンク))という技を披露している。

ここから、ネフィ=ネラの大技はいずれも「◯◯万化・◯◯◯掌」という形を取ることがわかる。
現実での名前は志木場 禰󠄀羅(しきば ねら)。
LoA内での姿とは違い、大人の姿をしている。

LoA内ではスライムの妖魔人(モンストロン)ということになっているが、現実での正体は未だに謎が多い。
ネフィ=ネラのキャラストーリー4話では、自分の正体に関する情報を小出しにしており、下記にそれらの情報をまとめる。
- 鉄の軟泥(スライム)であるため、姿形はどのようにでも変えられる。
- (人間の)大人から子どもサイズの変化は五十歩百歩程度と感じるほど、本来の姿は遥かに大きい。
- 天使や悪魔よりも古くから存在する存在だからか、人間の感情については理解しきれていない。
- 長い間地の深くに欠片として埋もれていたが、然る南方の島嶼にある平穏な小国(多分琉球王国?)((琉球王国 - Wikipedia))の貴人の元に辿り着き、その時の貴人の姿がネフィ=ネラの現在の姿になっている。
- ネア(寝亜)はその貴人の子孫。
- ネアが生まれる1世紀近く前(大体1900年頃)に小国に日本の士卒が来て(琉球処分?)((琉球処分 - Wikipedia))、その際に日本文化(トーゴク趣味)について知った。



沖縄に関連する話として、ニライカナイという伝承上の理想郷((ニライカナイ - Wikipedia))がある。
琉球の各地域によってはこのニライカナイの呼び方が異なり、中でも徳之島ではこのニライカナイとニライカナイの神を「ネラ」と呼ぶ((徳之島町/尾母方言~ネ行~))。
過去沖縄にいたと考えられることから、現実及びLoA内での「ネラ」という名前はここから来ているのかもしれない。
また、鬼面仏心のキャラストーリー4話の情報を合わせると下記の通り。
- 華氏1万度(=摂氏5537度)の場所で産まれた。
- 時間感覚が人とズレすぎているせいで、主人公を老人にするほど時間を共にしてしまう。
- ティアの調べた限りでは現実でもVRでもバケモノで鉄の化生。
- 意識が芽生えたのはそこまで古くはないが、肉体年齢は46億歳ほど。
第3部第15章の幕間ⅩⅩⅢでティアはネフィ=ネラのことを「ほぼほぼFe(鉄)、たまにNi(ニッケル)オンナ」と呼称している。
ネアがノーマルなスライムであることを踏まえると、モチーフの一つとしてメタルスライムがあると思われる((メタルスライム (めたるすらいむ)とは【ピクシブ百科事典】))画像は第3部第5章第6話から)。

ただ、ネフィ=ネラのキャラクターストーリー4話でティアがネフィ=ネラの正体に疑問を抱いていることから、単純に「鉄のスライム」という訳では無さそう。

ちなみにこの現実の姿は、LoA内でも見せることが可能で、メインストーリーの第3部第14章幕間ⅩⅨで披露している。第3部第15章第1話では本生譚(ジャータカ)*15と唱えることで現実の姿に変身している(LoA内ではこの呪文を唱えないと姿形を大きく変えられないのだろうか?)。

ジャータカとは仏教で、釈迦がインドに生まれる前にヒトや動物として生を受けていた前世の物語らしい。
ネフィ=ネラの正体と確信が持てる情報は少ないが、地球の年齢も46億年であることを踏まえると、ネフィ=ネラは地球ができたときから存在する生命体ということになる。
また、他のプリンセスが天使や巫女など神と関係する性質上神話に関係ある生物や存在なのかもしれない。
現時点でネフィ=ネラのモチーフと思わしき神話上の存在として、ヴィシュヌ*16*17とヴィシュヌの化身と看做される観音菩薩*18が挙げられる。
ヴィシュヌはヒンドゥー教(インド神話)における神であり、仏教においては有力な天人、守護神である。
ヒンドゥー教のヴィシュヌ派においては、ヴィシュヌは形の無いブラフマン(インド哲学における宇宙の根理)と同一視されており、これはネフィ=ネラの特定の形を持たない点や変化する点と一致する。
また、世界の秩序を回復させる際にヴィシュヌはナーガ*19という蛇の上に寝そべる。ネフィ=ネラも平時は蛇(ウワバミ)の背に乗っている(画像は第3部第5章第2話から)。

また、ナーガは怒ると旱魃に、宥められると雨を降らすという天気を制御する力を持っている。このナーガと同じようにインド神話に登場する蛇としてヴリトラ*20がいる。
ヴリトラは(ナーガのように)水を閉じ込めて旱魃を起こすとされている巨大な蛇の怪物で、蜘蛛や雲と描写されることもある。現代的な解釈では、ヴリトラは山に水を閉じ込めて旱魃を引き起こすことから雲の象徴ともされたり、冬の巨人と呼ばれたりもする。
プラーナ文献と呼ばれるヒンドゥー教の聖典では、ヴリトラの外見は黄色い目と黒い肌をした巨人であったとされる。
これらの特徴はネフィ=ネラの名前でもあるネフィリム(巨人)、ネビュラ(雲)に一致する。
これらの点から六凶の「蛇」としての立ち位置から、ネフィリム=ネビュラという名を名乗り、蛇を絡めた姿形を取るようになったのではないかと考える。
観音菩薩は世を救済する際に、民の性格や器に応じて、種々の形体を現じる。
この種々の形態の考え方から、六観音、七観音、三十三観音など多様多種な別身(観音像)が作られるようになり、密教の教義により千手観音など、変化観音と呼ばれる様々な形の像が作られるようにもなった。ネフィ=ネラのUBに「掌」「万化」という単語が絡んでくるのはここが理由かもしれない。
グラン・クリュは鬼面仏心。

噴火横綱猪神の骨付き肉で作った至高の溶岩ステーキで覚醒。
鬼面仏心という言葉は「恐ろしい顔をしているものの、性格は穏やかである」と言う四字熟語で、強い力を持つものの人に寄り添おうとするネフィ=ネラ(とストーリー内で他種族を助けるジオ・ゲヘナの民?)の性質に由来すると考えられる*21。
元ネタは通常形態同様にヴィシュヌと考えられるが、通常が仏教のヴィシュヌに近いのに対し、鬼面仏心の方はヒンドゥー教の方のヴィシュヌに近いように見受けられる。
まずヒンドゥー教のヴィシュヌには4つ腕があり、下の左手にパドマ(蓮の花)、下の右手にカウモーダキー(棍棒)、上の左手にパーンチャジャニヤ(法螺貝)、上の右手にスダルシャナ・チャクラを持っている*22。
ネフィ=ネラ(鬼面仏心)も、スライムから4つの腕が生え、同じ手に同様のアイテムを持っている。
更に、蓮の花の上に座る姿まで一致している。
ヴィシュヌという名前には「遍く満たす」という意味があり、ネフィ=ネラ(鬼面仏心)が光属性なのもこの遍く満たすという性質を、太陽の光と見立てているためと考えられる。
また、スキルの蛇落印は、観音菩薩が降り立つとされる浄土・伝説上の山とされる補陀落(ふだらく)が由来と思われる。

ヴィシュヌのアバターラ(化身)の一つにヴァラーハ*23というものがあり、これは猪の姿をしているらしい。憤怒横綱猪神の元ネタはこれかもしれない。
最後に余談だが、ラテン語のnebulaには「霧」という意味もあり、ジオ・ニヴルヘルの由来となったニヴルヘイム(Niflheimr)は霧の国という意味である*24*25。
さらに「霧」を意味するイタリア語の名詞にnebbia(ネビア)があり、これもラテン語のnebulaを由来としている。
ネビアは「幻影湖の霧」を扱う妖精であるため、「霧」という単語がそのまま由来となっている。
ジオ・ニヴルヘルやネビアとネフィ=ネラは深い関連性がある訳ではないが一つの単語が他の要素とつながるということに不思議な面白さを感じる。
ヴァイオレット
ジオ・ニヴルヘルのプリンセス。

元ネタはグラン・クリュにも関わるがイザナミ*26と思われる。
イザナミの有名なエピソードの一つに、イザナミの死後、冥界(黄泉の国)*27で自身の死体をイザナギ(イザナミの夫)に見られるというものがある。
第3部第11〜12章でヴァイオレットはゾンビとなって腐敗した姿を主人公に目撃されてしまうというシーンがあり、これはこのイザナミのエピソードから着想を得た可能性が高い。

また、イザナミは黄泉津大神とも言われる神で、冥界との関連性も深い。
現実では、菫(すみれ)と名乗る。


菫のモチーフとして、弟橘媛*28が考えられる。
弟橘媛は日本神話や古事記に登場するヤマトタケルの妃であり、ヤマトタケルとの遠征中に海神の怒りを鎮めるために海に入ったというエピソードがある。
菫は異世界の脅威から民を守るために犠牲になったという差異はあるものの、海へ身を捧げたという点は一致している。

また、弟橘媛は巫女という説が存在する。
ここから連想して、服装やティアの「巫女さんとかのオリジナル」「二千年とか(もっと前の存在)?」といった発言から、かつての日本(邪馬台国)で巫女として有名な卑弥呼*29もモチーフとしてあるのではないかと考えられる。


グラン・クリュはイサナミ。

海老ピレオで覚醒。
イサナミという名前は先述したイザナミと、クジラの古名である勇魚(いさな)*30から来ていると考えられる。
また、これは偶然かもしれないが、水を扱う性質上「波」とも掛かっているかもしれない。
Grand Cru Royal5章ではイサナミ変身時の口上(のようなもの?)を唱えている。

白鯨はハーマン・メルヴィルの長編小説「白鯨」に登場する白いマッコウクジラのモービィ・ディック*31、またはその元ネタとなったモカ・ディック*32を指すものと思われる。
モービィ・ディックは最終盤で日本海近隣で出現するため、ヴァイオレットの出身の日本とも関わりがある。
また、Fauna of whale fallsとは、鯨骨生物群集(深海において沈降したクジラの死骸を中心に形成される生物の群集・集団)*33のことを指す。
ジオ・ニヴルヘルの王城である巨鯨城もこれが由来と考えられる。

ネプテリオンやクイーンウタクラゲの幼体といった海洋生物を使役していることと、天女のような衣装から、イサナミのモチーフには浦島太郎の乙姫*34もあると考えられる。
まず乙姫の住む竜宮城は海の底にある存在する世界である。竜宮城は、常世の国(海の彼方にある理想郷、死語の世界)*35とも同一視される。
ジオ・ニヴルヘル(特に巨鯨城付近)の景観などはこの竜宮城・常世の国から着想を得ており、覚醒したヴァイオレットには竜宮城の主人である乙姫を当てはめた、と考えられる。
第3部第12章で顕著に現れる場面だが、ヴァイオレットは覚悟を決めた際に「勇気を」と口にすることが多い。ここから転じて、グラン・クリュの名称もイサナミとなったのかもしれない。

海老ピレオの名前の由来は、Grand Cru Royal5章でグレイスが言及していたがエンピレオ(至高天)*36から来ており、これと海老を混ぜた単語だろう。

エンピレオは神曲という叙事詩における天国の最上層であり、主人公であるダンテが最後に訪れる場所でもある。
参考文献